『序章』

 

 様々な環境問題、人口増加、食料難に対してその度に人類は解決案を出し、そして何時しか戦争が無くなり、世界に恒久的な平和が訪れたように思えた。





 
 ――西暦2017年 7月4日 未明

 “それ”は、突如宇宙《そら》に現れた。人類は宇宙への関心が無かったわけではない。中でも合衆国は"次なる問題は絶対的な土地不足"とし、宇宙への進出に力を入れてきた。宇宙の観測は必然と言える。
 その、曲がりなりにも最先端の技術を以ってしても、“それ等"を捕らえることは不可能だったという。
 ……現在の通称、インベーダー《侵略者》。"彼ら"は勧告も宣言も通信すらも無しに、世界中の主な首都を攻撃、その場は廃墟と化した。
 "何故こうも容易く侵略されたのか"。現在でその様なことを歩兵隊の最中で言えば、リンチでは済まないだろう。……つまりは、そう、相手が圧倒的だったのだ。
 まずは空。言わずともインベーダー共は我々の予想を裏切らず、前時代的な固有名詞で言う……“UFO”を使用してきた。それは我々の世界では考えられない火力を搭載しており、撃墜どころか防衛すらもままならなかったという。現在では"偶然"墜落したUFOの技術を基に、何とか抵抗は出来ている。
 次に陸地。これはもう笑うしかないだろう(UFOも十分馬鹿げていると筆者は思うのだが)、インベーダーが地上に何を投入してきたか、それは昆虫だった。そう、地球にも存在している小さき昆虫、"アリ"。ここで読者は思うだろう、それに毒でもない限り致死性はないのではないか、と。……まだ説明は終わっていないのだよ。何が笑えるか、それは大きさだ。我々の常識で言えば小さく視界にも入らない、といった具合だろう。しかし、地上に現れたのはとんでもない! 全長の推定、10m。軽い特撮映画の設定だと思わないかね。……それが現実に現れた、インベーダーは相当にユーモアのセンスがあるらしい。
 インベーダーとのコミュニケーション方法が無い以上、我々は防衛するしかない。そこで新たに軍事系統が再構築された。
 ……EDF《Earth Defense Force》、地球防衛軍。


「この放送は全世界に向けて流されております。……皆さんも知っての通り、私達は侵略されている。空からやってきた侵略者によって。何故、どうして……疑問は尽きませんが、確かに彼らは地球に降り立ち、世界を攻撃している。皆さん、私達には最早選択肢と呼べるものは存在しません。選ぶ……いや、選ばざるを得ない行動は唯一つ、戦うのです! 侵略者にどの様な理由があるか、そんなことはどうでもいいのです。私達は守らねばならない、この地球を! この世界を! 街を! 人々を! ――今ここに私は宣言致します、Earth Defense Force……地球防衛軍の創設を!!」


 筆者が記憶している限りで、あの年の大統領は歴代の合衆国大統領の中で最高だったと記憶している。
 ……放送の後、インベーダーによって大統領が居たホワイトハウスは文字通り跡形も無く消えてしまった。しかし、その想いは全世界の人に受け継がれたと言えるだろう。何故ならば、今現在、EDFは確かに活動をしているからだ。


(中略)




 

 我々が最終的に勝利するかどうかは、全く予測できない。もしかしたら明日、インベーダーがとんでもない方法で人類を抹殺するかもしれない。……一つ言えることは、そう、結果は全てEDF次第だということ。だから私は本を書く、次の世代に歴史を伝えることを生業としよう。
 願わくば、人類に勝利を。

 

著者:ジョージ・クリプトン


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