「ごめんなさい、ごめんなさい……」
僕には、どうすることも出来ない。彼女に反抗すれば、たちまち更なる暴行が加えられて、体のあざを増やすだけの結果になってしまう。
そう、結局は打開策なんて存在しやしないんだ。僕が何をしようと、彼女は僕の全てが気に食わないのだから。
「はははっ、こいつダンゴ虫みたいに丸まって、なんかブツブツ言ってやがる」
「あーあ、これだからうじ虫君は」
「おっ、見ろよ、うじ虫だぜ」
「やだー、誰それー?」
「ほら、あそこにいる暗そうな奴。アイツ、小学校の頃ずっと俺たちにいじめられてたんだぜー」
中学校の入学式。節目となるこの日でも、やはり反応は変わらない。でも、どうしようもないのだ。僕には彼らを変える力はないし、とうにそんな気概もなくなってしまった。……頭にあるのは、ここでもまた前のような生活になるのか、という不安だけ。
「おらぁ!」
「う……」
どこかで見たような光景……腹に彼の足がめり込んでいる。心では何も感じないようになっていても、痛みだけは消えない。その痛みは、まるで何かを僕が間違えたと言わんばかりに付きまとう。
「へへっ、心配しなくても、まだまだ俺たちが可愛がってやるからよぉ」
あぁ、そうだ。これは日常。変化を望まなかった人間の成れの果て。
高校。俺を攻撃する奴は、もういない。
「うわ、なにあのピザ。きもー」
「見ないほうが……あっ、こっち見た。死ね」
「……死のうか」
二番(これ)を最初に選んだ人は、諦めが早過ぎます。
もうちょっと頑張りましょう。
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