インターネッツ……それは、あらゆる可能性が存在する場所。ある者は新たな生命を生み出し、またある者は破壊を繰り返す。
その、無限に広がる世界で、また今日も一つの物語が紡がれる……。

 

 

「い、いやぁ!」
「フヒヒッ、今日の獲物は上物だ……! フヒッ!」

 悪漢、その言葉がすばらしく当てはまる男に、これまた悲劇のヒロイン然とした少女が襲われていた。
 ――回線裏。インターネッツ内の通路となるこの部分にも、裏が存在する。真っ当な道を歩めない者達が犇き、表の住人が足を踏み入れるのを待っている。……踏み入れたが最後、五体満足で出られた者はいない。

「幼女! さ、さらに、ニーソックスッ! ……も、萌ええええええ!」
「や、やめてください><;」

 この悪漢を含め、路地裏に犇く彼らこそが霊長目オタク科、キモオタと呼ばれる生物なのである。一概にキモオタと言っても、その種類は属性で分けられており、端的に表すと全てのキモオタが異なる固体なのだ。それ故に特定の属性に当てはまらない限り、危害を加えられる心配は無い。
 主に襲われるのは女性で、女性に限ればキモオタはあらゆるタイプに反応できる。即ち、彼らが巣としている回線裏に迷い込んでしまえば……結末は言わずとも。……しかし、10人に一人のキモオタは男性にも対応できると言われており、のんけでも襲われる可能性があるので注意が必要だ。

「誰か助けて! いや、やめて!」
 必死に少女が叫ぼうとも、反応する存在は何も無い。見れば辺りはキモオタに埋め尽くされており、今か今かと次の展開に進むのをじっと見つめている。
「フヒ、フヒヒッ! た、助けを呼んだって、フヒッ、無駄だよ。こ、こは光も届かないアンダー、グ、グラウンド……フヒッ! 目障りなネットポリスでさえ、よ、よけて通る場所さ! フヒヒッ!」
 その、キモオタの言葉を聴いて全てを諦めたのか、少女の力が抜ける。哀れ少女は、そのままキモオタの餌食となってしまうのであろうかッ!
「こ、これで童貞卒業……ッ! フヒヒ!」
 脂ぎった手で、少女の白い柔肌が汚される……その瞬間!
「そこまでだお」
「フヒッ!? な、なに奴!」
 先程まで周囲をキモオタたちが埋め尽くしていたというのに、残っているのは塵のみ。……その中心の人影が、もう一度口を開く。
「そのこをはなすお」
「こ、これは……!」
 キモオタの顔が青ざめる。それは目の前の人物が存在する故なのか、あたり一面に広がるキモオタの残骸故なのか。
「まわりのキモオタは全て田代砲で殲滅したお。残るはおまえだけだお」
「ま……ま、間違いない、お、お前は……」

「V I…… V   I   P   P   E   R  ! ! 」


続かない。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送